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第11回 公開シンポジウム「サブカルと宗教表現ー神としての「温泉むすめ」ー」を開催

既に当HPにおいて告知しておりましたが、9月25日(土)14:00~16:00にオンライン公開シンポジウム「サブカルと宗教表現ー神としての「温泉むすめ」ー」を開催しました。

パネリストとして、株式会社エンバウンド代表取締役の橋本竜氏(『温泉むすめ』総合プロデューサー )、脚本家の佐藤寿昭氏(『温泉むすめ』原作作家 )をお招きし、コーディネーターの渡辺賢治氏(常磐短期大学准教授)による司会のもと、サブカルチャー領域における宗教表現としての『温泉むすめ』をテーマにお話をおききしました。

シンポジウムでは、「学術的見地からみた『温泉むすめ』の魅力」「『温泉むすめ』と神―キャラクター設定について―」「運営者側からの宗教表現への認識」「伝統文化と参加型コンテンツ―未来への可能性―」という主に4つの話題に触れました。

不手際もありましたが、ご参加いただいた皆様からのアンケート内容も参考にさせていただき、またこのようなシンポジウムを開催できればと思います。



左から渡辺賢治氏 橋本竜氏 佐藤寿昭氏

  第10回 研究者の自転車操業  渡辺 賢治

皆様、こんにちは。
常磐短期大学の渡辺賢治と申します。

早いもので、2021年もそろそろ折り返しの時期に入ろうとしていますが、如何お過ごしでしょうか。
コロナ禍においては、一日も早いワクチン接種の流通と収束を念じてやみません。

さて、この度、「KAKU LABORATORIO」における「研究最前線ブログ」を開設することとなりました。
なお、開設にあたっては当HPの主である森覚先生と、ある日のオンライン飲み会(我々の間では「博士会」と呼んでいる)でのやり取りが発端となっております。

その経緯を詳細に述べると、以下のようになります。

渡辺
 そういえば『KAKU LABO』ですが、あれだけ立派なHPを作っているのに、所属する研究メンバー(「仏教文化におけるメディア研究会」を指す)の生の声などは発信されていないですよね。例えば、不定期に研究メンバーがブログを書いて、各自の研究最前線をUPするとか、やりませんか? ひょんなことから、さらなる研究活性化につながるかもしれないですし


確かにそうですね。是非やりましょう
渡辺 では、サンプル程度に、こちらで一度書いてみますね。字数はどれくらいにしましょうか?
1000字程度で良いのではないでしょうか
渡辺 わかりました。では、数日後に書き上げてお送りしますね

このような経緯で決まりました。アッという間ですね(笑)。

また、上記の通り、言い出しっぺが私であるため、まずは「生け贄」として、第1回目のブログを執筆することとなりました。

なお、主眼としては当HPの趣旨と各メンバーの研究内容を世の中に「わかりやすく」「ざっくばらん」に発信することです。
研究者だけではなく、それ以外の方にも対象を広げ、お伝えしたいと考えております。

ところで、そろそろ第1回目の題名「研究者の『自転車操業』」にも触れなければ字数制限に引っかかってしまいますので触れたいと思います。
端的に申すと、研究者が大学や短大などに初めて着任した際(初年次)の、授業準備に追われることを指します。

基本、初年度着任の場合、ゼロから新たな授業内容を構築することとなります。
また、着任先の学生の特徴を踏まえた形での授業展開も必要です。場合によっては授業開始10分前位まで準備を行っている場合もあります。終了後、ホッとしたのも束の間、翌週の授業準備に入らねばなりません。

これが「自転車操業」であり、私は今この渦中におります。願わくばストックを作ること―これに尽きます。


  第9回 2020年(令和2年度)第2期活動報告  森  覚

昨年度、仏教文化におけるメディア研究会では、第一期活動ならびに第二期活動の研究成果となる論文集『メディアのなかの仏教─近現代の仏教的人間像』を東京都千代田区神田神保町の勉誠出版より刊行した。

この論文集は、2020年3月31日に刊行されたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い発令された緊急事態宣言を受け、5月下旬に書店販売が開始されることとなった。

そのような発売スケジュールの遅延にも関わらず、2020年7月2日付の「週刊仏教タイムス」を皮切りに、8月31日刊行の『怪と幽』第五号(KADOKAWA)といったメディアで、本書をご紹介いただいた。

また10月に入ってからは、表象文化論学会のニューズレターであるREPRE40号において、研究代表の森による書籍紹介が公開された。

加えて、出版元である勉誠出版には、宣伝活動へ力を注いでいただき、「週刊仏教タイムス」「朝日新聞」「京都新聞」「週刊読書人」『東方』に本書の広告記事が掲載された。

今後は、武蔵野大学准教授の碧海寿広氏に執筆していただいた書評が2021年中旬刊行の日本近代仏教史研究会紀要『近代仏教』第28号にて発表されることになっており、同じく3月刊行予定の絵本学会研究紀要『絵本学』でも本書が紹介される予定である。

一方、研究会の活動状況については、コロナ禍により大正大学キャンパスへの入校制限措置が取られたため、2020年5月15日の第一回研究会から2021年1月22日の第13回研究会までの全てをZoomによるオンライン形式で開催した。

5月から9月にかけては、主に論文集の販売開始にあわせ、書籍紹介の執筆や、書評への対応を行なった。

しかし、仏教文化におけるメディア研究会は、令和二年度をもって第二期活動に区切りがつくため、研究分担者と協議し、八月末からは、次年度の研究活動継続に向けた準備をあわせて取り組んだ。

その第一歩として、9月19日17時より、仏教文化におけるメディア研究会と、三浦周氏(大正大学)の日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)科研番号18K00064「近代仏教学は「トランスナショナル」なのか─皇道仏教・戦時教学に関する基礎的研究─」との共催企画として、オンライン公開研究会「仏教とメディア表象」を開催。

研究代表の森が「明治15年の草双紙『開化地獄論』─啓蒙主義と仏教─」と題して発表、三浦周氏が司会を務めた。

当日は、日本宗教学会第79回大会の開催期間と重なったが、嶋田毅寛氏、猪股清郎氏、渡辺隆明氏(大正大学)、大澤絢子氏(大谷大学)、髙橋洋子氏(法政大学)、渡辺賢治氏(福島工業高等専門学校)、今井秀和氏(大東文化大学)、近藤俊太郎氏(本願寺史料研究所)、ユリア・ブレニナ氏(大阪大学)、田中ひろみ氏(仏像イラストレーター)に参加していただいた。

また、京都にある法藏館書店からの協力を得て、次年度第三期の研究計画を策定。現在、大正大学綜合佛教研究所に学術助成を申請しているところである。

仏教文化におけるメディア研究会は、2013年の設立当初よりメディアに表現された仏教文化を論究対象としてきた。

その路線を継続する第三期では、近代仏教研究の観点から、「近代日本における仏教とメディア」を軸として、江戸末期から昭和期にかけての書物・図像・映像・音響メディアにより生み出された仏教表現の成り立ちと仏教との関係性を考察したい。

それにより、江戸末期から近代のメディアを通じ、仏教のイメージが人びとにいかに受容され、共有されたのかを明らかにし、さらには、娯楽性を帯びつつ表現された仏教が人びとの心理や思考、行動へ与えた影響ついても検討する。

今後も適時、オンラインと対面での研究会を開催し、中間報告や討議を通して、研究内容の充実を図りたいと考えている。


・研究会
 第1回研究会  5月15日(金)
 第2回研究会  5月30日(土)
 第3回研究会  6月13日(日)
 第4回研究会  7月18日(土)
 第5回研究会  8月15日(土)
 第6回研究会  9月11日(金)
 第7回研究会  9月18日(金)
 第8回研究会  10月16日(金)
 第9回研究会  11月3日(火)
 第10回研究会  11月21日(土)
 第11回研究会  12月19日(土)
 第12回研究会  12日30日(水)
 第13回研究会  1月22日(金)
 第14回研究会  2月6日(土)


・公開研究会
Zoomオンライン公開研究会「仏教とメディア表象」 9月19日(土)17時
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)科研番号18K00064「近代仏教学は「トランスナショナル」なのか─皇道仏教・戦時教学に関する基礎的研究─」、仏教文化におけるメディア研究会共催企画


  第8回 2019年(平成31年度/令和元年度)第2期活動報告  森  覚

仏教文化におけるメディア研究会の第二期活動では、近現代のメディアから読みとれる、時代とともに解釈と改訂が重ねられ、再生産されてきたブッダに関する表現を事例とし、仏教的人物の表象が創出する仏教の文化的イメージとそれが社会へ与えた影響について見ていく研究に取り組んでいる。

第二期2年目を迎える本年度は、引き続き毎月二回ほど定例会を開催し、大正大学綜合佛教研究所へ所属する研究員と外部研究員を中心にした研究分担者の間で、各自の課題を深化するべく報告と批評を行った。

そこで報告された内容は、森 覚「創りかえられる仏教的人物像─宗教表象の創出と再生産」、森 覚「仏教絵本『こどものくに別冊おしゃかさま』にみるブッダのイメージ」、嶋田毅寛「近現代ドイツにおける仏陀のイメージ─ヘルマン・ベック、フリードリッヒ・ハイラー、カール・ヤスパース」、渡辺隆明「変容する妙好人像」、渡辺賢治「明治期の文学における仏教的表象の萌芽─露伴作品を視座として」、猪股清郎「「風景」から「即身」へ─「空海」を、今、体感する」、清水浩子「一遍上人の研究」、髙橋洋子「高橋五山と仏教紙芝居─勢至丸様を中心に」となる。

また、個別の報告に加えて研究会では、理論上の重要な先行文献となるロラン・バルトの『神話作用』(現代思想新社、1967年)、ジャック・ザイプスの『おとぎ話の社会史 文明化の芸術から転覆の芸術へ』(新曜社、2001年)と『おとぎ話が神話になるとき』(紀伊国屋書店、1999年)、太田智己氏の『社会とつながる美術史学─近現代のアカデミズムとメディア・娯楽』(吉川弘文館、2015年)の要点を読み合わせし、そこで示される知見の吸収に努めた。

さらに昨年度に引き続き、京都・大阪への研究旅行を実施。2月15日には、奈良国立博物館「毘沙門天─北方鎮護のカミ─」展の企画講演「毘沙門天の源流を探る~インドからガンダーラ・西域へ~」を聴講し、翌16日には大阪・国立国際美術館で開催の国際シンポジウム「音響メディア史とサウンド・アート:歴史・創造・アーカイブの現在」に参加した。

本研究会では、メディアを通して創りかえられる仏教的人間の表象へと反映された思想、価値観、習俗、政治、経済、教育、娯楽、芸術、学術、性別などのイデオロギー的諸観念について読み解いていく。

それにより、国家、民族、階級、業界、組織、或いは、それらを越境していく人間関係の総体として現れる社会空間の場で、時代的趨勢に応じて形成された宗教表象が、媒体を介して、個人や集団へ受容されていくプロセスを探り、近現代という時代のある共同体や言説空間で共有された仏教の文化的イメージについて明らかにすることが論究の目的となる。

本年度に達成した顕著な研究成果としては、出版論文の刊行があげられる。仏教文化におけるメディア研究会の第一期活動から懸案とされてきた論集の商業出版については、第二期活動のなかで、テーマの絞り込みを行い、ブッダ、宗祖、高僧、宗教者、信者といった仏教的人物の表象を考察し、その個別性と同時代的な共通項を見出すという研究テーマに落ち着いた。

その後、年度初めから各研究分担者へ原稿執筆の指示を出すと共に、東京神田神保町の勉誠出版株式会社と交渉を進め、編集作業の依頼が成立する。

完成した原稿については、本研究会の顧問である村上興匡先生に確認いただき、極力、初出論文が発表されているテーマで執筆することを条件に、学術性の担保を図ることとし、九月末の段階で入稿の運びとなった

厳正なる確認作業を経て採用されたのは、森 覚、嶋田毅寛氏、猪股清郎氏、渡辺隆明氏、大澤絢子氏、髙橋洋子氏、渡辺賢治氏の論考であり、加えて大道晴香氏、今井秀和氏の寄稿論文も収録できる事となった。

仏教的人間像の表象を統一テーマとした全十章の内容構成でまとめることができたが、一方で、論考の選別を重ねた結果、掲載を見送った原稿も出たことは、非常に残念である。

しかしながら各方面からのご協力によりかたちとなった書籍は、それまであまり注目されていないメディア領域の宗教表象へと切り込む論集に仕上がりを見せた。

このなかには、既存の宗教研究からとりこぼされた問題も含まれている。

出版を通じて、読者からの反応や意見を待ちたいところではあるが、いずれにせよ、今後、森の科研費研究成果も収録した本書が新たな仏教文化研究の展開へとつながる一つの道標として活用されることを切に希望する。

なお、書籍については、『メディアのなかの仏教─近現代の仏教的人間像』(A5判・上製カバー装・384頁)というタイトルで、2020年3月末日に刊行される予定である。

仏教文化におけるメディア研究会の研究成果となる『メディアのなかの仏教─近現代の仏教的人間像』(A5判・上製カバー装・384頁)が本年度中に勉誠出版より刊行される。

本書は、ロラン・バルトの神話作用、ジャック・ザイプスの再話という理論などを用いながら、仏教表象の改訂と再生産という問題を解説し、それに関連した論文を収録したものとしては、かなりのまとまった論文集となる。

我々の研究会は、表象と媒体をめぐる文化現象の考察を研究課題としているが、その発端となったのは、イメージ論として膨大な蓄積を誇る先行研究の西洋美術やキリスト教聖画に関する膨大な先行研究の知見や、イメージ人類学をはじめとする近年の美術史学における新たな潮流を、仏教のメディア表現研究に取り入れようと発想したことによる。

『メディアのなかの仏教─近現代の仏教的人間像』は、そうした我々の研究方針を改めて決定づけた成果でもあるため、次年度以降の研究会運営をどのようにしていくかという問題を踏まえ、仏教表象研究へ、より方向性を絞っていきたいと考えている。

実際、令和2年度は、第二期活動が最終年度に差し掛かるため、共通のテーマに基づき、各研究分担者がそれぞれどのような研究に取り組めるかを検討する必要が出ている。

研究会では、引き続き経過報告という形態を基軸に開催していく予定であるが、そのプロセスを通して研究についての選別を進め、研究会のあり方にも変化を生じさせるつもりである。

今後も継続して研究内容の精度を高めるため、これまでと同じく綜合仏教研究所に所属する研究員・客員研究員には、佛教文化学会をはじめとする学会での研究発表、さらには、日本学術振興会科学研究費助成事業への申請を推奨し、『綜合仏教研究所年報』や『佛教文化学会紀要』などの学会紀要へ論文投稿を勧め、共同研究会の底上げを図りたい。


  第7回 2018年(平成30年度)第2期活動報告  森  覚

本研究では、近代に出版されたメディアが生成する開祖ブッダ(釈迦)の表象を考察し、異なる媒体を横断しながら、宗教者や知識人だけでなく、幅広い一般の人々へ同時代的に伝達され、共有されてきた仏教の文化的諸相について探る。

メディアを通して表現されるブッダは、仏教経典に記述される内容や諸宗派の教理、19世紀末の西欧諸国で発達する近代仏教学の学知を取り込んで形象化された読者を信仰世界へと誘導する存在である。

一方で、このキャラクターは、時代の世相や通俗的な仏教観、キリスト教等からの外的影響を受けつつ、既存の宗教美術及び宗教物語を再構築する事で象られた創作物でもある。

そこで本研究は、近代以降、仏教の根源的人格とされたブッダ像が、時代によって様々な文化的事象と交わりながら変質し、社会的に創造され、諸媒体を通じて形象化された表象である事を、絵本におけるイメージの再生産という観点から、関連するメディアコンテンツを考察し、明らかにする。

平成30年度は、本年度に活動継続が承認された仏教文化におけるメディア研究会第2期目の1年目となり、新たな研究分担者として大正大学綜合佛教研究所研究員の渡辺隆明氏、南部千代里の二名が加わった。

両名ともに哲学・宗教学を専攻しているが、本共同研究会のテーマであるメディア表象の論考については、それほど触れてこなかったため、会全体で共有するべき知識の確認として、参考文献の読み合わせとともに、研究分担者が各自の論考課題案を報告した。

平成30年度は、全16回の研究会を実施した。

仏教文化におけるメディア研究会では、当初から古代インドの地域宗教として成立した仏教を世界宗教と発展させたメディアの力と、諸媒体より生成された人間像と世界観をめぐる宗教表象について考察してきた。

我々の取り組みでは、宗教表象に反映された時代や地域によって変容する思想、価値観、習俗、政治、経済、宗教といったイデオロギなどの諸要因を読みとり、これらを内包する文化現象としての仏教が、いかなる媒体によってどのような宗教表象を生み出し、個人や集団に影響を及ぼしてきたのかについて明らかにしようとしている。

それにより、メディアを通じて、宗教者や研究者にとどまらず世間一般の幅広い人々と繋がってきた仏教の社会的側面に光をあてるのが目的となる。

第1期目では、メディアを通じて生成される表象の多様性を提示することが意図としてあり、あえて時代や地域を限定した考察対象の設定をしなかったが、それにより取り扱う研究の方向性に不明確な部分があった。

そこで第1期の反省点を踏まえ、第二期目の研究活動では、研究テーマを仏教的人間像に絞り、近代メディアが生成したブッダの表象について考察を試みた。

近代はマスメディアをはじめとする諸媒体によって多くの人々が仏教に接した時代となり、ブッダの表象には、当時の世相や、特定の社会で支配的なイデオロギーといった同時代性へ意識が読みとれる。

そこで今後の課題としては、メディアに見られるブッダの表象を考察することにより、社会と仏教との接続により形成された文化的諸相を浮かびあがらせたいと考えている。

本年度は、『ブッダの変貌 交錯する近代仏教』(法藏館書店)、『現代宗教二〇〇八 特集メディアが生み出す神々』(秋山書店)、『バラエティ化する宗教』(青弓社)、『シリーズ日本人と宗教 近世から近代へ5 書物・メディアと社会』(春秋社)、『イタコの誕生 マスメディアと宗教文化』(弘文堂)などのメディアと宗教表象に関する先行研究の読み合わせをし、また同時に、研究分担者が各自の論考課題を報告した。

平成31年度も、参考文献の読み合わせは、継続させることにしたいが、とくに力点を置きたいのは、論文草稿の執筆を念頭に置いた中間報告の実施である。

これは、本共同研究会で設定するテーマにもとづき、どのような研究が可能であるかを分担研究者が提案する場というだけでなく、他の参加との意見を交換する機会ともなる。

加えて来年度は、論文草稿の早期完成を目指し、一度、その内容を分担研究者それぞれが所属する学会での発表を義務にしたいと考えているため、研究会における中間報告を有効に活用していきたいと考えている。

研究内容のより高い精度を高めるため、これまでと同じく綜合仏教研究所に所属する研究員・客員研究員には、『綜合仏教研究所年報』への論文投稿を勧め、共同研究会の活動にも還元できる成果があげられるよう呼びかけ、『仏教文化学会紀要』をはじめとする学会の研究論文投稿を義務とし、草稿作成を促進させる手立てとしたい。



  第6回 2017年(平成29年度)第1期活動報告  森  覚

本研究会の目的は、人文科学的な精読分析によりメディアの表現を考察することで、時代や地域ごとに変遷し、異なる媒体を横断しながら多様化してきた仏教の宗教表象を明らかにすることにある。

すなわち、人から人へ情報を伝える媒体表現・伝達手段の視点から、宗教者や知的エリートだけでなく、広く大衆に受容されてきた仏教文化の実態を浮き彫りにすることが、共同研究会が目指す統一的課題となる。

助走期間一年目では、各参加研究者の専門分野を把握し、共同作業の基盤構築を進め、二年目は、研究全体の方針を整理し、各分担研究に関する主題と骨子を決定した。

全分担研究者で、研究テーマや先行研究を討論し、考察手法となる記号論やイメージ人類学などの理論について確認しながら、研究概要を受けて、参加研究者各自が、分担研究の報告を順次行った。

2014年12月6日(土)には、大正大学巣鴨校舎で開催された第24回学術大会仏教文化学会の研究発表会で当会の7名が中間報告を行い、聴講者から貴重な意見を頂戴した。

三年目は、村上興匡先生を研究会顧問に迎え、「仏教文化におけるメディア研究会原稿執筆要綱」を作成し、章段構成、体裁、著作権への留意について確認した。

四年目は、論文の仮構成と追加資料へ目を通し、総論に関する検討を重ねながら研究全体の整合性を調整し、各自が論文執筆に入った。

五年目となる本年度は、研究分担者から提出された論文の確認作業を行なったが、改めて全体的な総論の再検討が必要になり、修正作業に入っている。

活動五年目となる今年度は、全16回の研究会を実施し、研究分担者は、以下の論文を提出した。
  • 森 覚「仏教絵本『こどものくに別冊 おしゃかさま』にみるブッダのイメージ」(平成二十八年度日本学術振興会 科学研究費助成事業 学術研究助成基金助成金 基盤研究(C) 課題番号一六K〇二三二九 平成二十八年度〜平成三十三年度 「近現代日本の仏教絵本におけるブッダのイメージ研究」)
  • 嶋田毅寛「暗号論による仏教メディアの歴史」
  • 猪股清郎「空海のメディア性の原点としての「声字実相」観−「自然じねん」と「大我」のひろがり―」
  • 藤近恵市「古代インドにおける仏教文化の捉え方」
  • 金 永晃「仏教文化メディアの観点から見る慶州仏国寺寺院建築」
  • 大澤絢子「大正期親鸞文学と親鸞像―石丸梧平を中心に」
  • 高橋洋子「高橋五山と仏教紙芝居―勢至丸様を中心に―」
上記の論文は、本会独自に作成した「仏教文化におけるメディア研究会原稿執筆要綱」で定めた統一形式での執筆を進め、章段構成、体裁、著作権への留意について確認した。

その際には、『大正大学綜合佛教研究所年報』第38号に掲載する活動報告と中間報告の再検討も行い、図像研究の追加資料を読みこみ、次年度の論文執筆に向けて、共同研究の基盤となる問題意識や理論構築について話し合いを進めた。

それを踏まえて、各研究者が分担部分の途中経過を報告し、数度にわたり、全体で論述のチェックを進めて、書き直し作業を行ったことは、共同研究を進展させる点において有益であった。

しかしながら、論文全体を総覧した結果、研究テーマの統一性を再度見直す必要に迫られたため、研究会の活動更新を行い、来年度以降、総論部分の再検討を進めたいと考えている。

平成30年度は、引き続き定例会と月例会を中心に活動しながら、商業論文の出版に向けた活動へ取り組んでいく。

現在、活動五年目を迎える仏教文化におけるメディア研究会では、共同研究の参加者各自が分担する論文の作成を行っている。

しかしそれらを包括する総論をより具体的なものにする必要が出てきている。

そこで現段階の構想として、来年度からは、近現代におけるメディアが表現してきた仏教の宗教表象についての研究を進めたいと考えている。

近代仏教研究においては、国民国家の成立や科学思想の流入といった背景の中で、大乗非仏説論などの近代的な問題の解決としての新しい仏教思想に着目されているが、同時に、現代人が認識する仏教文化もまた近代以降につくられた新しいものとなる。

明治政府の神仏分離令や欧化政策を契機として顕在化した日本仏教の近代化は、学術研究、教団改革、宗教者の社会実践といった側面だけに留まらず、美術・出版・映像といった分野に波及することで新たな仏教文化を生み出す契機となった。

こうした近代以降の文化的うねりは、人間の創作表現と結びつき、メディアを通じて発信されてきたが、現代人の多くは、それらの多くが遠い昔から受け継がれてきたものと考えている。

しかし、伝統的だと思われている仏教文化も実は、近代になってから人工的に創り出されたものであり、こうした事実は、エリック・ボブズボウムとテレンス・レンジャーの著書『創られた伝統』における指摘と重なる部分も大きい。

そこで、19世紀から20世紀にかけて制作された、仏教に関連する小説・新聞・雑誌・学術書・絵本・紙芝居・模型・建築を事例として、メディア表現による宗教表象の生成とその受容について考察し、近代以降、さまざまな媒体を横断しながら創出された仏教文化の諸相について明らかにしたい。

なお、研究内容のより高い精度を高めるため、これまでと同じく綜合仏教研究所に所属する研究員・客員研究員には、『綜合仏教研究所年報』への論文投稿を勧め、共同研究会の活動にも還元できる成果があげられるよう呼びかけ、『仏教文化学会紀要』への研究論文投稿を推奨し、原稿作成を促進させる手立てとしたい。



  第5回 2016年(平成28年度)第1期活動報告  森  覚

仏教文化におけるメディア研究会では、文化現象としての仏教という枠組みから、古代インドから現代までの造形美術と、近現代の視覚媒体を通じて表現される仏教的イメージの様相について注目する。

全体的な論考の基本方針としては、時代や地域ごとに文化現象としての仏教がいかに認識され、解釈され、変遷してきたのかを、メディアを通じ、視覚と言語、時間と空間、意味と形象等として表現されたものから読み解く。

それにより、宗教者や信徒だけでなく、広く大衆が日常的に接してきた仏教の諸相について解明する。

古代インドにおいて説かれた釈迦の教えは、書物・絵画・塑像・建築・音楽などのメディアを通じて、宗教者と権力者だけでなく、文字を読めない大衆の間でも広く語られ、世界各地に教線を拡大していく。

その過程では、時代や地域によって異なる社会と接触し、文化的融合を遂げながら、当初の形からは変化した仏教も生成される。

つまり仏教は、インドの地方宗教から世界宗教へと移行する過程で表現され、伝達され、解釈され、受容される行為と共に、そのかたちを変え、多岐にわたる教義解釈を生んだのである。

本研究会では、このような歴史的前提に立ち、文化としての仏教を現前のものとしてきたメディア表現から読みとれる意味と形象の問題について考察する。

意味をめぐる論考では、仏教的創作物から思想・価値観・習俗・世相・政治・経済・信仰・芸術などのイデオロギー(体系化された観念)を読み解き、さまざまな人々による解釈も含めながら、仏陀信仰を基盤とする仏教観の展開と変遷について探究していく。

一方、形象をめぐる論考では、仏教的イメージをめぐる人間の営みに焦点をあてる。

人間の身体感覚とメディア表現を通じて、観念と物質との双方を横断するイメージが、可視的に形象化される社会的な過程、人間の身体へ様々な作用をもたらすメディアとイメージの性質と機能、あるいは、イメージをめぐる制作者(発信側)と鑑賞者(受容側)との関係性について解明する。

また、メディアで表現された仏教が、諸現象をどのように結びつけ、秩序立てられた世界観を構築したのか。

更には、そのような仏教的世界へ、身体的存在である人間をいかに位置付け、組み込んできたのかを、人類によるイメージの生産・伝達・受容という視点から明らかにする。

仏教文化におけるメディア研究会は、本年度で活動四年目を迎え、来年度には、研究活動の集大成である出版物の編集刊行を控えている。

平成二十八年度は、それに向けた論文執筆を進め、綜合佛教研究所研究員を中心に週ごとで行う定例会と、分担研究者全員が集まる毎月一回の月例会において、一体感のある論文とするために共有すべき資料の読み合わせや追加資料の確認、左記にあげる各論文に関する執筆進捗状況を報告しあった。
  • 森  覚「仏教絵本『佛敎聖典 おしやかさま』にみるブッダの表象 −仏教とキリスト教との混合−」(平成二十八年度日本学術振興会 科学研究費助成事業 学術研究助成基金助成金 基盤研究(C) 課題番号一六K〇二三二九 平成二十八年度〜平成三十三年度 「近現代日本の仏教絵本におけるブッダのイメージ研究」)
  • 嶋田毅寛「暗号論による仏教メディアの歴史」
  • 猪股清郎「空海のメディア性の原点としての「声字実相」観−「自然じねん」と「大我」のひろがり―」
  • 藤近恵市「古代インドにおける仏教文化の変遷」
  • 清水浩子「須弥山説の受容(仮)」
  • 金 永晃「仏教文化メディアの観点から見る慶州仏国寺寺院建築」
  • 大澤絢子「新聞小説のなかの親鸞像 ―大正期における親鸞像の大衆化―」
  • 高橋洋子「高橋五山と仏教紙芝居 ―勢至丸様を中心に―」
目下、これらの論文に、前年度まで三度にわたり発表してきた中間報告に基づく総論と結びを添えて原稿を形にし、勉誠出版をはじめとする出版社との交渉を進めている。


  第4回 2015年(平成27年度)第1期活動報告  森  覚

仏教文化におけるメディア研究会は、本年より正式な共同研究会へと昇格し、活動三年目を迎える。

我々の取り組みでは、文化現象としての仏教に着目し、古代インドから現代までの造形美術と、及び近現代の視覚媒体とを通じて表現される仏教的イメージの様相について観ていく。

この取り組みでは、学問分野の諸領域を横断し、様々な問題と連関し合うかたちで注目されている意味と形象という二つの論点から、仏教文化が生み出してきた多種多様なイメージを考察する。

意味をめぐる論考では、仏教的イメージテクストから、国家・時代・階級・宗教・思想・価値観等のイデオロギーを読み解き、仏陀と仏陀信仰を基盤とする仏教的表象の展開と変遷について探究する。

また、形象をめぐる議論では、イメージをめぐる人間の営みに焦点を当て、人間の身体とメディア表現を通して、観念と物質との双方を往来しながら、イメージが視覚的に形象化される社会的過程、人間の身体へ様々な作用をもたらすメディアとイメージの性質と機能、あるいは、作る人間ならびに視る人間と関係づけられるイメージの問題について解明する。

それより、仏教は、諸現象をどのように意味づけて、いかに秩序立てた世界を構築しようとしたのか、更には、そのような仏教的世界へ身体的存在である人間をいかに位置づけてきたのかという問題を、人類によるイメージの生産と受容、伝達という視点から考えるのが、研究の目指す方向性となる。

紀元前五世紀頃の古代インドに実在したとされる釈迦が創唱した仏教は、当初、インド北部から、次第に教線を拡大し、世界各地の広域へと伝播する。

その原動力となったのは、情報を媒介して伝達するメディウムの存在である。初期伝道の段階においては、仏教の根本原理であるダルマを、口伝によって伝えていたが、教主の言行が亡失するのを防ぐために、次第に文字言語による教理の保存と継承を試みる。

他方、一般民衆の間で仏教信仰が隆盛すると、文字が読めない人々を含めた幅広い社会階層への教化に対応するため、視覚や聴覚などの身体感覚に作用する媒体を用いた布教活動が展開する。

仏教は、これらの伝達手段を活用することで、インド周辺から東アジア全域まで伝播し、西欧諸国にも認知される事となる。

こうして世界各地で受容されていた釈迦の教えは、時代や地域ごとに、政治、経済、階級、信仰、芸術、習慣、思想、価値観などの諸観念と融合し、新たな解釈が加えられることで多様な仏教的イメージを生み出す。

こうしたメディアが生み出す仏教イメージについて考察する本研究会は、引き続き、綜合仏教研究所に所属する研究員を中心とした定例会と毎月一回の月例会を水曜日に開催し、参加研究者各自が、それぞれに分担する研究テーマを進化させる作業に取り組んだ。
  • 森   覚 仏教絵本に見る釈尊とイエスの混交
  • 藤近 恵市 古代インドにおける仏教文化の捉え方
  • 高橋 洋子 高橋五山と仏教紙芝居―勢至丸様を中心に―
  • 大澤 絢子 『親鸞伝絵』制作における覚如の意図をめぐって―『伝絵』の絵相比較より
  • 猪股 清郎 眼に見える「形」から眼に見えない“dhArma”へ―内なる「自然じねん」から「大日即身」への構造―
  • 金  永晃 慶州仏国寺のその思想的背景と寺院建築様式
  • 嶋田 毅寛 ボロブドゥール ―消失する暗号かマンダラか
  • 清水 浩子 須弥山の宇宙観が伝えるもの
今年は、「大正大学綜合佛教研究所叢書 刊行企画 執筆要綱」を発表し、体裁や引用方法といった原稿作成規約、図表の用い方、共通テーマへの意識といった点に関し、著作権法や研究倫理規定に照らし合わせて検討を加えた。

また、執筆締め切りや出版社との交渉についても話し合い、具体的な進行計画を確認したところである。

これを踏まえて来年度は、原稿を執筆すると共に、出版社との交渉を進め、出版化の具体的な道筋をつけたい。



  第3回 2014年(平成26年度)助走期間活動報告  森  覚

仏教文化におけるメディア研究会では、哲学、仏教学、宗教学、社会学、比較文化、歴史学といった幅広い専門分野から、メディアを通じて表現される仏教的イメージの様相と用法、性質や機能を考察する。

それにより、今日に至るまで変遷して続けてきた仏教文化における仏陀信仰の展開を浮き彫りにすることが主な目的となる。

助走期間一年目では、各参加研究者が取り組んできた専門分野を詳細に把握し、共同作業の基盤構築を進めることに力点を置いた。

これを継続するものとして二年目は、研究全体の方針を整理すると同時に、それぞれの分担研究に関する主題と骨子の決定を念頭に置いて活動した。

前年度と同様に、毎週水曜日に定例会と月例会を開催し、定例会では、大正大学綜合佛教研究所へ所属する研究員を中心に、外部機関に所属する参加研究者が加わり、先行研究の確認と主題に関してディスカッションした。

一方、月例会では、イメージ人類学などの最新研究を紹介しながら、全体テーマに関する概要を研究代表から説明し、それを受けて参加研究者各自が取り組む分担研究の提示と報告を順次行った。

その内容については、2014年12月6日(土)に大正大学巣鴨校舎で開催された第24回学術大会仏教文化学会の研究発表会において当会の7名が報告し、聴講者からも貴重な意見を頂戴し、活発な議論ができた。

我々にとって初の試みではあったが、共同研究会の全体的方向性を意識し、一つの形として提示する機会を得たことは、今後の進展にとって大きな追い風になったものと考える。

活動二年目では、全16回の研究会において次の研究報告を実施した。 
  • 森  覚「共同研究会の指針について-イメージ・メディア・身体-」(全四回)
  • 嶋田毅寛「伝播によるメディアで伝えられる思想」
  • 大澤絢子「康永本見る親鸞の表象とその意識―『親鸞伝絵』の絵相比較より―」
  • 高橋洋子「高橋五山『鬼ノツリハシ』について―ペープサート『日天さん月天さん』との関係を中心に―」
  • 森 覚「『佛教聖典おしゃかさま』と全日本真理運動―仏教絵本に観られるキリスト教聖画の影響―」
  • 清水浩子氏「須弥山の宇宙観の伝えるもの」
  • 金永晃氏「仏教メディアとしての寺院建築‐慶州仏国寺の思想的背景」
  • 藤近恵市「古代インドにおける仏教文化の形態」、猪股清郎「空海「大日即身」観の仏教文化的展開」。
また、第24回学術大会仏教文化学会で行った発表は、次の通りである。
  • 大澤絢子「親鸞伝における六角夢告の語り―その表象と変遷―」
  • 高橋洋子「高橋五山と仏教紙芝居―勢至丸様を中心に―」
  • 嶋田毅寛「出版の思想に寄与する役割―岩波文庫「読書子に寄す」より―」
  • 森覚「絵本『とげぬき地蔵さま』にみる巣鴨の地域学習」
  • 金永晃「佛教メディアとしての寺院建築―慶州仏国寺の思想的背景―」
  • 藤近恵市「古代インドにおける仏教文化の形態」
  • 清水浩子「須弥山の宇宙観の伝えるもの」
  • 猪股清郎「大いなるもの」との入我我入による「大我」即「毘盧遮那」の構造―」
各研究者が分担部分を報告し、仏教文化学会で途中経過を公表できたことは、共同研究を進展させる点において有益であった。来年度も同様の取り組みを継続し、論文執筆へとつなげたい。


  第2回 2013年(平成25年度)助走期間活動報告  森  覚

仏教文化におけるメディア研究会は、仏教学、宗教学、西洋哲学、比較文化学、社会学、歴史学、外国文学、児童文学といった学術分野の研究者が集まり、仏教文化の一角をなすメディアの問題について、多角的な観点から論証することを目的とした共同研究会である。

助走期間一年目となる今年度は、とりわけ共同研究の方向性について明確化することを重視し、参加研究者の専門分野を把握しながら、課題について絞りこむという方針を掲げて、共同研究の基盤整備を進めた。

休業期間中などを除き、主としてほぼ毎週水曜日か木曜日に活動し、この日程で、月3回の定例会と月1回の月例会を開催した。

定例会では、大正大学綜合佛教研究所へ所属する研究員を中心に、外部機関に所属する参加研究者が加わり、研究方針に関する議論と先行研究の確認を行った。

一方の定例会は、参加研究者全員が各自の専門分野を紹介し、これから取り組む共同研究の展望を語る報告の場として設定した。以下に研究報告の順番と題名を記載する。
  • 森覚「メディア研究について」
  • 藤近恵市「ダルマについて」
  • 嶋田毅寛「暗号としての仏教」
  • 大澤絢子「浄土真宗の「妻帯の宗風」はいかに成立したか―江戸期における僧侶の妻帯の厳罰化と親鸞伝の言説をめぐって―」
  • 重野純子「東ドイツのメディアについて」
  • 高橋洋子「仏教紙芝居の紹介」
  • 金永晃「今年、研究会における私の個人的研究内容として」
  • 清水浩子「仏教天文学について」
考察対象となるメディアとは、仏教に関連するあらゆる媒体のことである。

人間にとってメディアは、人から人へメッセージを伝える媒介作用であり、コミュニケーションの伝達道具であり、身体機能を拡張するものと言われている。

本研究会では、それらの定義をふまえながら、言語・図像・音響といった媒体により、ある種の世界観や宇宙観を表現し、その体系を人々に認識させる手段としての性質を有したメディアについて注目する。

今日、マスメディアやインターネットの普及により、すでに人間の生活全体を覆う環境と化したメディアは、不断に自己と他者の関係性を変化させている。

この中で仏教に関する情報やイメージも、国境や文化圏を超えて瞬時に世界中へ拡大し、不特定多数の人々の間でやりとりされることにより、多彩な様相をみせている。

しかしながら、こうした現象は、近現代に起きたものではない。古代インドで釈迦が創唱した仏教は、世界中に拡大する過程で、異なる共同体の政治体制や経済構造、習慣や価値観、その他の土着文化と融合しながら変容し、メディアは、そうして形成された新たな仏教的世界観(観念体系)を各媒体の諸表現によって具現化することで、大勢の人々へ伝えている。

本研究会では、1年間の活動を通じて、メディアを通して文化的変容を遂げる仏教のイメージを探るという目標を全参加研究員で決定した。

来年度からは、一つの方向性として、参加研究者各自の専門分野を生かしながら、東西交流の中で形成された仏教文化におけるメディアの役割、また、様々な時代や地域において、ある特定のメディア表現がいかなる仏教的世界観を伝えてきたのかについて明らかにしていきたいと考えている。


  第1回 はじめに  森  覚

HOMAとは、エスペラント語で「人間」を意味します。

有史以来、この世界のあらゆる現象に目を向け、その原理を明らかにしようとしてきた知への渇望は、次第に学問という体系的営みへと発展し、極めて多岐に渡るさまざまな学術領域を生み出しました。

今日の学術分野は、研究者の数と同じく、学術分野も細分化されていると表現しても過言ではありませんが、一方で昨今は、個々の領域を越境し、互いに異なる専攻の人びとたちが集い、意見を交わす複合的な学究も試みられています。

かつての自由七科がそうであったように、諸学を横断するメディア表現への探究は、森羅万象を見つめ、文化的な所産に光をあてる、わたしたち人間の知的創造行為により為されるものであり、常識としての知識で許容される臨界点を越え、未知なる課題の発見へと到る挑戦ともいえるでしょう。

この度、公開した共同研究プロジェクト・ニューズレターは、過去から現在までメディア表現に魅了され、表象・イメージ・記号について語る全ての人間へ敬愛の意を込め、「HOMA」と名づけることにしました。

メディア表現における知を再編し、新たな可能性を見出すこの目論みは、到底、個人レベルの研究で実現されるものではなく、達成には、同じ目標を掲げるさまざまな立場にいる人びとの参画を仰ぎ、協議を通じた研究の集合と蓄積を講じる必要があります。

そのような事情を踏まえ、ニュースレター『HOMA』では、メディアを通じて多様な思考と感覚を持つ諸個人をつなぐ効果的なコミュニケーションの構築を図るネットワーク空間として、共同研究の最前線を伝えていくことにします。

今後は、万人に活用される本サイトのシンボル的なランドマークとなれるよう情報共有機能の充実を図りたいと存じます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。


 Copyright 2011 Kaku Mori